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メンバーの本音を引き出す会議へ:心理的安全性を高めるリーダーの話し合い作り方

Tags: 心理的安全性, 会議運営, リーダーシップ, コミュニケーション, ファシリテーション

チームの会議は、情報共有や意思決定だけでなく、メンバーのアイデアを引き出し、チームの一体感を育むための重要な場です。しかし、「会議で発言する人が限られている」「遠慮して本音が出ない」「活発な議論にならない」といった課題を感じているリーダーも少なくありません。これらの課題の背景には、会議の場における「心理的安全性」が十分に確保されていない可能性があります。

この記事では、心理的安全性の高い会議をデザインし、メンバーが安心して発言できる環境を整えるための、リーダーが実践できる具体的なステップをご紹介します。

なぜ会議における心理的安全性が重要なのか

心理的安全性とは、「チームの中で、他のメンバーが自分の発言を否定したり罰したりすることはないと確信できる状態」を指します。これが会議の場にどのように影響するのでしょうか。

心理的安全性が低い会議では、以下のような状況が起こりやすくなります。

一方、心理的安全性が高い会議では、メンバーは「何を言っても大丈夫だ」と感じ、率直な意見、疑問、懸念、時には思いつきのようなアイデアも安心して共有できます。これにより、議論が深まり、より良い意思決定や問題解決につながります。また、メンバー一人ひとりの当事者意識や貢献意欲も高まることが期待できます。

リーダーにとって、会議の場に心理的安全性を意識的に作り出すことは、チーム全体のパフォーマンス向上に直結する重要な役割です。

心理的安全性を高める会議の「話し合い作り方」:リーダーの実践ステップ

会議の心理的安全性を高めるためには、会議の始まる前から終わりまで、リーダーが意識的に働きかける必要があります。ここでは、具体的な実践ステップをご紹介します。

ステップ1:会議の目的とアジェンダを明確にする・共有する

会議が何のために行われ、何を話し合い、何を決めるのかが不明確だと、参加者は「何を発言すれば良いか分からない」「的外れなことを言ってはいけない」と感じやすくなります。

このように準備することで、参加者は心の準備ができ、会議に臨む姿勢が整います。「会議は準備が8割」と言われるように、事前の明確な情報共有は心理的安全性の土台となります。

ステップ2:会議開始時に安心できる雰囲気を作る

会議の冒頭は、その後の話し合いのトーンを決定づける重要な時間です。

例として、「今日の会議では、〇〇という難しい課題について皆さんの多様な視点からアイデアを出していただきたいと考えています。どんな小さな気づきでも構いませんので、思ったことを率直に共有していただけると嬉しいです。私自身も皆さんの意見から学びたいと思っています。」のように伝えてみましょう。

ステップ3:会議中のファシリテーションで発言を促し、受け止める

会議が始まったら、リーダーは積極的にファシリテーター(進行役)として、メンバーが安心して発言できる環境を維持・強化します。

ステップ4:会議の終了を丁寧に行う

会議の終盤や終了後も、心理的安全性を保つための配慮が必要です。

継続的な取り組みの重要性

一度心理的安全性の高い会議ができたとしても、それは永続するものではありません。チームの状態や会議のテーマ、参加者によって雰囲気は変化します。リーダーは、日々のチーム運営と同様に、会議の場における心理的安全性の状態にも意識を向け続け、必要に応じて上記のステップを繰り返し実践していくことが大切です。

また、メンバーからのフィードバックを積極的に求め、「この会議はどうだった?」「もっと発言しやすくなるにはどうすれば良いと思う?」といった問いかけを行うことも有効です。

まとめ

会議における心理的安全性を高めることは、単に和やかな雰囲気を作るだけでなく、チームの集合知を引き出し、より創造的で生産的な話し合いを実現するための土台となります。新任リーダーの皆様には、ぜひ本記事でご紹介した具体的なステップを一つずつ実践していただき、メンバーが安心して本音を語り、チームとして最高のパフォーマンスを発揮できる会議の場をデザインしていただきたいと思います。

会議を変えることは、チーム全体の文化を変える第一歩となるでしょう。