安心チームガイド

「できた!」を共有して安心感を育む:チームの心理的安全性を高める成功体験の活かし方

Tags: 心理的安全性, 成功体験, チームビルディング, リーダーシップ, 承認

リーダーとしてチームを率いる中で、「もっとメンバーに安心して発言してほしい」「互いに協力し合える雰囲気を作りたい」と感じることはありませんか。心理的安全性の高いチームを作るためには様々なアプローチがありますが、チーム内で「小さな成功体験」を意図的に共有し、認識し合うことは、安心感を育む上で非常に効果的です。

なぜ「小さな成功」の共有が心理的安全性につながるのか

心理的安全性とは、チーム内で自身の意見や感情を安心して表現できる状態を指します。この状態が生まれるには、メンバーが「このチームでは、自分が率直に話しても否定されない、馬鹿にされない、不利益を被らない」と感じられることが重要です。

小さな成功を共有することは、このような安心感を育む上でいくつかの重要な役割を果たします。

  1. 承認と自己肯定感の向上: 自分の取り組みや成果がチームに認識され、評価されることは、メンバーの自己肯定感を高めます。「自分はチームに貢献できている」という感覚は、自信を持って発言したり、新しい挑戦をしたりするための土台となります。
  2. ポジティブな雰囲気の醸成: 成功体験の共有は、チーム全体にポジティブなエネルギーをもたらします。「自分たちにもできる」「次はもっと良くしよう」という前向きな気持ちは、チームの雰囲気を明るくし、心理的なハードルを下げます。
  3. 協力関係の強化: 誰かの成功を知ることは、そのプロセスにおける工夫や苦労を理解することにつながります。また、成功を共有し祝福し合うことで、メンバー間の共感や連帯感が生まれます。これは、互いの挑戦を応援し、困難な時には助け合える協力的な関係性の構築に寄与します。
  4. 学習機会の創出: 他のメンバーの成功事例から、新しい知識や効果的な方法を学ぶことができます。成功の背景にある要因や、乗り越えた課題を共有することで、チーム全体の学習能力が高まります。

「小さな成功」とは何か?

「小さな成功」とは、必ずしもプロジェクトの大成功や、大きな業績達成を指すわけではありません。日々の業務の中にある、以下のようなささやかな進歩や貢献も含まれます。

重要なのは、その大小ではなく、本人やチームが「できたこと」「乗り越えたこと」「貢献できたこと」として認識し、ポジティブに捉えることです。

小さな成功を共有し、心理的安全性を高めるリーダーの実践ステップ

リーダーが意図的に小さな成功の共有を促し、心理的安全性につなげるための具体的なステップをご紹介します。

ステップ1:共有の機会を定期的に設ける

成功体験を共有するための「場」や「時間」を意識的に設けることが重要です。

ステップ2:リーダー自身が共有を促す声かけをする

ただ場を設けるだけでなく、リーダーから積極的にメンバーに共有を促す声かけをします。

このように具体的に問いかけたり、特定の行動に焦点を当てたりすることで、メンバーは何を共有すれば良いか分かりやすくなります。

ステップ3:共有された成功を丁寧に「聴き」、具体的に「承認」する

メンバーが共有してくれた内容に対して、リーダーは真摯に耳を傾け、具体的に承認することが極めて重要です。

ステップ4:成功体験をチーム全体の学びにつなげる

共有された成功体験を、個人や一部のメンバーのものとしてだけでなく、チーム全体の学びや財産として活用します。

ステップ5:ポジティブな連鎖を生み出す

リーダーが率先して小さな成功を共有し、メンバーの共有を丁寧に承認することで、チーム内にポジティブなサイクルが生まれます。メンバーは「ここでは良いことも共有して認められる」と感じ、安心して自分の貢献や学びを話せるようになります。これが心理的安全性の基盤となります。

まとめ

心理的安全性の高いチームは、メンバーが安心して発言し、挑戦し、互いに協力し合える場所です。そのためには、日々の業務の中で生まれる「小さな成功」を見つけ出し、意図的に共有し、承認し合う文化を作ることが非常に有効です。

新任リーダーの皆様にとって、大きな成果をすぐに挙げることはプレッシャーかもしれませんが、まずはチームやメンバーの「できたこと」に目を向け、それを丁寧に拾い上げ、ポジティブに共有することから始めてみてください。この小さな一歩が、チームに安心感と活力をもたらし、より良い関係性を築く基盤となるはずです。

ぜひ、明日から一つでも多くの「小さな成功」をチーム内で共有してみてください。それが、心理的安全性の第一歩となるでしょう。